2010年3月15日月曜日

寒椿

view photostreamUploaded on January 10, 2009
by nakimusi


あれは寒椿です。

先週あたりから見頃になりました。

君は良い時に来ましたね。

ちょうど今が盛りです。



大学を退職した年に越して来ましたから、もう10年ですね。

冬の苦手な私を、この花が慰めてくれます。

さぁ、冷めないうちに、お茶を飲みなさい。

ずいぶんと久しぶりですね。



勘のいい君のことです。

もう察しているでしょうが、ええ、彼から君の事を聞きました。

案じてましたよ、彼。

学生時代の友人というのは、本当に得難いものですね。



いや、なにも今さら、先生ぶろうというのではありません。

私に何が出来るわけでも無いのですから。

ただ、君の顔を見たかっただけです。

それでね、君の顔を見たら、私は安心しました。



また来年も、この寒椿を見にいらっしゃい。

楽しみにして待っていますから。

きっとですよ。





*小さな物語は、写真から想起したフィクションです。 

2010年3月14日日曜日

旧友

view photostreamUploaded on October 10, 2009
by Yohei Yamashita


〆に、ラーメン食おうぜ。

旨いんだよ、そこ。

えっ? 夜中に食うと太る?

ツマんないこと言うなよ、江戸っ子がぁ。



あっ、ごめんごめん、三重だっけ?

いや、憶えてるって、三日市じゃなくて…。

ほら、四日市だろ?

冗談だってば。



餃子も旨いからさぁ、冷たいビールで軽く飲み直して…。

で、ラーメン食って解散ってことで、どう?

いや別に、なんも無いよ。

ほら、久しぶりじゃん、ほんと久しぶりだよな。



やっぱ、帰る? そうだなぁ、さんざん飲んだしなぁ。

明日も仕事なんだろ、悪かったな今日は…。

いや、なんでも無いよ、大丈夫、元気だよ。

んじゃ、俺はラーメン食ってくよ。



またな。

お前も元気でな。

今日は、ありがとうな。

ん…、じゃあな。







*小さな物語は、写真から想起したフィクションです。


2010年3月13日土曜日

喪失

view photostreamUploaded on March 3, 2009
by scion_cho


あれっ?

なんだっけ?

何やってんだっけ?

駅か…。

鞄持ってるし…、会社の帰りか?

じゃあ、家に帰るとこだ。

家…、でも、家って何処だっけ?

…。

ん?

あれっ?

誰だっけ、俺?







喧嘩

view photostreamUploaded on August 4, 2008
by hitthatswitch


行っちゃったよ…。

そんなに怒ることないだろ。

そりゃまぁ、俺が悪いんだけどさぁ。



でも、だからって、いきなり怒り出すことないよなぁ。

だいたい、人の話、聞かないんだもん。

こっちにだって、事情があるんだって。

それをいきなり…、カルシウム足りてないんじゃないの?



ったく、どーするんだよ、予約した店は…。

一人で食っちゃうか…。

いや、やっぱりキャンセルしとこ。

あれで明日になったら、なんも無かったように電話してくるし…。



ちょっと、疲れるよなぁ。

アイツ、なんか最近、イラついてるし。

三年目かぁ…。

なんか、いろいろ変わったよな。



まぁ、いっか。

どっかで、旨い焼鳥でビールでも飲もうっと。

一人も気楽で良いや。








*小さな物語は、写真から想起したフィクションです。

2010年3月12日金曜日

昔話

view photostreamUploaded on July 19, 2009
by Rafael_Pieroni


あんた、中国人? ふ~ん、日本人…。

あたしゃ、この先で、ちっちゃな店やってんの。

メキシコ人じゃないよ、一緒にしないでよっ!

もっと南っ、まぁ、言っても知らないだろうけどね。



お金持ちの国の人には判らないよ。

な~にんも無い国で、みんな地べた這うように生きてた。

このまま一生終わるのかなって…。

そしたら伯父さんの誘いで、この国に来ることになったのよ。

パパと弟と私。ママはとっくに死んじゃってたしね。



でも、それからが大変よ、歩いて歩いて、もう歩き通し。

メキシコとの国境は、お金を払って川を渡ったわ。

でも、そこでパパの持ってたお金はすっからかん。

他のみんなと一緒に列車の屋根に乗って、それでメキシコを縦断。



長かった…、何日も屋根の上で揺られてるの。

うっかり眠って落ちたら、それっきり。

陽射しは照りつけるし、なによりトイレが困ってさぁ。

まぁ、そんなのは笑い話だけど、ハゲタカどもの事は一生忘れない。

いや、人間だよ、私らみたいなのを襲うギャングだよ。

最低最悪の連中、貧乏人から何もかも毟り取るんだから。



その途中で、パパは死んじゃったし、弟は行方不明。

なんとか私だけアメリカに辿り着いて、今じゃ市民権まであるけどね。

レーガンの時のアムネスティでね。

それでまぁ、店も持てたし、運が良かったんだろうね。



ありゃ、変なこと喋っちゃったね。

あたしゃ、もう行かなきゃ、んじゃ、坊や、元気でね。

えっ、三十? アジア人は若く見えるって本当だねぇ。

とにかく、アメリカを楽しんでよ、アディオース!







*小さな物語は、写真から想起したフィクションです。

2010年3月11日木曜日

踏切

view photostreamUploaded on May 14, 2008
by mrhayata


暑っついねぇ~ どこ行くの?

眠眠? うん、いいよ。

餃子食べたかったんだ、ビール飲むでしょ?

もう喉カラカラだもん。

そうだ、お盆休みどうするの?

また田舎に帰っちゃう?

いいなぁ~

私、東京だから田舎無いし。

山とか川とかさぁ、もう緑が眩しいくらいのとこ行ってみたい。

三日で飽きる?

うん、でもいいなぁ。

行ってみたいなぁ。

うん、餃子とビールだよね、お腹空いたもんね。








*小さな物語は、写真から想起したフィクションです。

路地

view photostreamUploaded on June 5, 2008
by mrhayata


いや、なに、ちょっと伯母さんに呼ばれましてね。

しょっちゅうなんですよ。

土産を取りに来いとか、雨戸が閉まらないとか…。



母親の姉、といっても双子だから同い年なんですけどね。

子供が居なかったせいですかね、小さい頃から可愛がって貰いました。

それでまぁ、未だに頭が上がりません。



私も母親を五年ほど前に亡くしましてね、まぁ、母親孝行の代わりみたいなもんですよ。

ええ、そうそう、双子だけに顔もおんなじですしねぇ。

いや、元気なんですよ。



旅行だの食べ歩きだのと、私らより出歩いてますよ。

家は持ち家だし、まぁ、それなりに良い老後じゃないですかね。

あっ、伯母の家は、この路地のすぐ奥なんです。



えっと、お探しのマンションは、この先を真っ直ぐ行ったら右手ですから。

いや、こっちこそ、詰まらない話を聞かせちゃって、すいません。

それじゃぁ、お気を付けて。