2010年3月16日火曜日

誘惑

view photostreamUploaded on June 19, 2009
by eliot.


なんかさぁ、冬の海っていいよね。

好きだなぁ。

だって、誰もいないしさぁ。

せいせいするって言うか、なんかスッキリするじゃない。



寒い?

ごめんね。

付き合わせちゃって。

あなたしか頼める人がいなくて…。



いつだっけか?

みんなで来たよね、夏に。

楽しかったぁ。

あの人、酔っ払って溺れそうになるし…。

馬鹿だよね、アイツ。



うん、意味無いよね、こんな話。

忘れなきゃダメだよね。

でも、こんな詰まらない話が、どうしても忘れられないの。

馬鹿だよね。



ごめんね、付き合わせちゃって…。

せっかくのお休みなのに。

ねえ、なんか暖かいもの食べに行こうか?

奢るからさぁ、行こうよ。











*小さな物語は、写真から想起したフィクションです。

2010年3月15日月曜日

訪問

view photostreamUploaded on June 18, 2008
by mrhayata


そうそう、その坂を上がっておいで。

そしたら直ぐだから。

えっ? なに?

服? どうかしたの?



いいじゃん、白、似合ってるよ。

そんなこと無いって、いいと思うよ俺。

えっ、おふくろ?

そんなの気にしないって。



大丈夫だよ、ちょっと顔見せるだけなんだからさぁ。

お茶飲んだら、すぐに出掛けるし…。

だから、変じゃないって。

だって、バッチリ決めて来たら、逆にアレだろ?



いや、そんな意味じゃなくてさぁ。

うん、大丈夫だから。

ほら、その坂を上がっておいで。

ここで待ってるから。





*小さな物語は、写真から想起したフィクションです。 

寒椿

view photostreamUploaded on January 10, 2009
by nakimusi


あれは寒椿です。

先週あたりから見頃になりました。

君は良い時に来ましたね。

ちょうど今が盛りです。



大学を退職した年に越して来ましたから、もう10年ですね。

冬の苦手な私を、この花が慰めてくれます。

さぁ、冷めないうちに、お茶を飲みなさい。

ずいぶんと久しぶりですね。



勘のいい君のことです。

もう察しているでしょうが、ええ、彼から君の事を聞きました。

案じてましたよ、彼。

学生時代の友人というのは、本当に得難いものですね。



いや、なにも今さら、先生ぶろうというのではありません。

私に何が出来るわけでも無いのですから。

ただ、君の顔を見たかっただけです。

それでね、君の顔を見たら、私は安心しました。



また来年も、この寒椿を見にいらっしゃい。

楽しみにして待っていますから。

きっとですよ。





*小さな物語は、写真から想起したフィクションです。 

2010年3月14日日曜日

旧友

view photostreamUploaded on October 10, 2009
by Yohei Yamashita


〆に、ラーメン食おうぜ。

旨いんだよ、そこ。

えっ? 夜中に食うと太る?

ツマんないこと言うなよ、江戸っ子がぁ。



あっ、ごめんごめん、三重だっけ?

いや、憶えてるって、三日市じゃなくて…。

ほら、四日市だろ?

冗談だってば。



餃子も旨いからさぁ、冷たいビールで軽く飲み直して…。

で、ラーメン食って解散ってことで、どう?

いや別に、なんも無いよ。

ほら、久しぶりじゃん、ほんと久しぶりだよな。



やっぱ、帰る? そうだなぁ、さんざん飲んだしなぁ。

明日も仕事なんだろ、悪かったな今日は…。

いや、なんでも無いよ、大丈夫、元気だよ。

んじゃ、俺はラーメン食ってくよ。



またな。

お前も元気でな。

今日は、ありがとうな。

ん…、じゃあな。







*小さな物語は、写真から想起したフィクションです。


2010年3月13日土曜日

喪失

view photostreamUploaded on March 3, 2009
by scion_cho


あれっ?

なんだっけ?

何やってんだっけ?

駅か…。

鞄持ってるし…、会社の帰りか?

じゃあ、家に帰るとこだ。

家…、でも、家って何処だっけ?

…。

ん?

あれっ?

誰だっけ、俺?







喧嘩

view photostreamUploaded on August 4, 2008
by hitthatswitch


行っちゃったよ…。

そんなに怒ることないだろ。

そりゃまぁ、俺が悪いんだけどさぁ。



でも、だからって、いきなり怒り出すことないよなぁ。

だいたい、人の話、聞かないんだもん。

こっちにだって、事情があるんだって。

それをいきなり…、カルシウム足りてないんじゃないの?



ったく、どーするんだよ、予約した店は…。

一人で食っちゃうか…。

いや、やっぱりキャンセルしとこ。

あれで明日になったら、なんも無かったように電話してくるし…。



ちょっと、疲れるよなぁ。

アイツ、なんか最近、イラついてるし。

三年目かぁ…。

なんか、いろいろ変わったよな。



まぁ、いっか。

どっかで、旨い焼鳥でビールでも飲もうっと。

一人も気楽で良いや。








*小さな物語は、写真から想起したフィクションです。

2010年3月12日金曜日

昔話

view photostreamUploaded on July 19, 2009
by Rafael_Pieroni


あんた、中国人? ふ~ん、日本人…。

あたしゃ、この先で、ちっちゃな店やってんの。

メキシコ人じゃないよ、一緒にしないでよっ!

もっと南っ、まぁ、言っても知らないだろうけどね。



お金持ちの国の人には判らないよ。

な~にんも無い国で、みんな地べた這うように生きてた。

このまま一生終わるのかなって…。

そしたら伯父さんの誘いで、この国に来ることになったのよ。

パパと弟と私。ママはとっくに死んじゃってたしね。



でも、それからが大変よ、歩いて歩いて、もう歩き通し。

メキシコとの国境は、お金を払って川を渡ったわ。

でも、そこでパパの持ってたお金はすっからかん。

他のみんなと一緒に列車の屋根に乗って、それでメキシコを縦断。



長かった…、何日も屋根の上で揺られてるの。

うっかり眠って落ちたら、それっきり。

陽射しは照りつけるし、なによりトイレが困ってさぁ。

まぁ、そんなのは笑い話だけど、ハゲタカどもの事は一生忘れない。

いや、人間だよ、私らみたいなのを襲うギャングだよ。

最低最悪の連中、貧乏人から何もかも毟り取るんだから。



その途中で、パパは死んじゃったし、弟は行方不明。

なんとか私だけアメリカに辿り着いて、今じゃ市民権まであるけどね。

レーガンの時のアムネスティでね。

それでまぁ、店も持てたし、運が良かったんだろうね。



ありゃ、変なこと喋っちゃったね。

あたしゃ、もう行かなきゃ、んじゃ、坊や、元気でね。

えっ、三十? アジア人は若く見えるって本当だねぇ。

とにかく、アメリカを楽しんでよ、アディオース!







*小さな物語は、写真から想起したフィクションです。